この公演はハプニングの連続だった気がします。
事の発端は水戸芸術館の公演「襤褸と宝石」のエキストラ役を僕がやらせて頂いたことでした。その際に小林さん(小林祐介)と色々話していて、「いつか一緒にやりましょうよ」とちゃっかりお願いしてましたから。
それから一年近く経って、ようやくスケジュールが合いそうな時期を見ての公演のはずが思わぬ皆さんの多忙ぶりに台本を書き直したりしたのが今やちょっと懐かしいです。これが最初のハプニング。
そしてちょっと悔しいのが、当初予定していたホンより書き直したこの「僕の騒がしい妄想」のほうが面白かったんです。ちきしょー。
昆とぐっさん(山口里美)のシーンで、どうも自分が当初やりたかった空気じゃないことに気づき、本番の二日前に三人で話し合ってガラッと変えてみたんです。カッチリ台詞を決めてやるんじゃなく、生っぽい、なんだったら調子良ければいくらでもアドリブやっていいよくらいに緩くしたんです。そしたらそれが良かったらしく、お客さんの反応もさることながら本人たちがとても楽しんで演じることが出来たみたいです。まあやっぱり作者としては複雑な思いですが。
なんだかんだ今回も四ヶ月かかってしまいました。でも今までと違うのは実際の稽古時間は一ヶ月ちょっとだったってことです。
本人たちが自信を持てるだけの芝居に仕上げるにはそれはもう大変でした。ゲストの方々の意見は厳しく、でもほとんどが正論だったりしたのでもうグウの音も出ませんでした。
そういえば最初の困難は舞台美術のことだったと思います。元々は壁や柱から色々出てくるっていう面白装置だったんです。本番でも壁からボックスと呼ばれる椅子が出てきましたけど、当初は柱から長椅子がスライドして出てくるという案もありました。懐かしい。
あとプロジェクター問題。映像を最後に流して妄想と現実の差を、主人公のヒデオが存在を肯定する道具として使おうとしたビデオカメラによって見せつけられる、という手法を取るためには映像演出が必要だったんです。でも肝心のプロジェクターが予定していた場所から借りれず、泣く泣く自分らで買うハメに・・・。周りからは「無駄遣いだ」「散財だ」と言われたっけ。ま、実際散財してたけどね。
実はプロジェクターのランプは消耗品な上に高級品なので、とてもケチって使ってました。
そして最終回にお客さんが入りきらないんじゃないかという不安。本来嬉しい悲鳴で済めば良い事なんですが、慣れないチケット形式を取り入れたりしてたのでなんだか予想がつけられず、追加公演の話も出たほどでした。実際予定回数で済みはしたのですが、客席はパンパン。自分らの予測の甘さを痛感した回になりました。申し訳なかったです。
そして本番前日に私はバイト先をクビになるという素敵な事件もありましたし。全く素敵な公演でしたよ。
個人的にはこのハプニングが一番頭を抱えましたね。ええ。
又吉知行