この『ループに纏わる不快感』の台本を初めて読んだ時、とても「重い」ホンだな、という感想を持ちました。
「重い」というのは、重苦しい話だということもあるのですが、それだけではなく、読んでいて、ズシッとした「質量」がある、そんな感じがしたのです。
だって、そりゃそうです。3本分のストーリーに、翻訳劇を思わせる饒舌なセリフ。何だか色々過剰なんです。重いに決ってます。
で、僕は、そんな過剰で重い芝居が好きだったりします。
せっかく時間を割いて、劇場まで足を運んで、しかもチケット代まで払って観に行くのなら、日常より過剰な、色んなモノを観たり体験できる芝居が観たい。要は「どうせなら腹一杯になりたい」という単純な理由です。
そんな訳で僕は、この台本をやりたいと思い、演出させてくれと又吉クンに願い出るんですが、演出するにあたって考えたのが、「どうしたらこの台本の過剰さに勝てるか」ということでした。
この過剰さを舞台で表現する為に、僕は、役者の「身体」の本来持つ、整頓されていない過剰さを使おうと考えました。
その為に、役者の動きや話し方の癖を演技に取り入れ、その「ゴチャゴチャした感じ」が観客にに伝わるように、客席を舞台を至近距離にし、その空気が逃げていかないように、舞台を客席で取り囲むという演出を施しました。芝居終わった後、役者もお客サンもグッタリしてましたね。
その他にも、スライドを役者の演技と同時進行で流したり、群唱をワザと少しズラしてエコーがかかった様な声の響きを作ったりなどと、色々と実験した公演で、稽古していて毎回様々な発見があり楽しかったです。出演者も皆やりやすいメンバーだったし。惜しむらくは、公演日に台風が直撃して客足が遠のいた事でしょうか。
そんな悪天候の中、観に来て下さった皆様、ご来場誠にありがとうございました。
渡辺キョウスケ
この公演では、「存在感」一番に意識しました。小さな空間で5人の存在感がぶつかり合うような感じにしたいということを演出から言われ、出演者5人全員、自分が一番目立ってやろうという気持ちだったと思います。
稽古中盤だったでしょうか、「昆は叫べばいいと思ってるから叫ぶの禁止。」と言われ、それ以降、日常生活の中でも自分の声が小さくなっていることに気付き焦りました。どんだけショック受けてるんだ、自分。今では普通の大きさに戻ったので良かったです。
2の部屋はナチスとかユダヤとかの話だったので、それ関係の映画をちょろちょろ借りて観たんですが、そういう役作りしたことなかったのでまるで生かせず。なんで借りたんだろう。ただのDVD鑑賞でしたね、あれは。
でも3の部屋でおもらししてしまうシーンがあったんですけど、あそこで『シンドラーのリスト』を生かせたかもしれません。自分の情けなさに涙するっていうことで。
あと髪型。個性派俳優みたいな髪型がいいなと言われたんですが、のばせず。結局なんともない普通の髪型にしかできなかったのが心残りです。あと当日パンフレットの写真が、自分だけだらしなかったことも残念でした。口半開きで、襟元だらっと開いてて。次回そういう写真撮るときがあったら、ぴちっと写ろうと思います。
昆節夫